(a)
\(\Pi_3\) 文 \(\varphi\) が PR 論理式 \(\delta(x,y,z)\) について \(\varphi = \forall x \exists y\forall z \delta(x,y,z)\) であるとする. いま \(\neg \varphi\) が true であると仮定する. このとき \(\neg \forall x \exists y
\forall z \delta(x,y,z)\) が true,つまり \(\exists x \forall y \exists z \neg \delta(x,y,z)\) が true なので,ある \(n \in \mathbb{N}\) が存在して,任意の \(k \in \mathbb{N}\) について \(\exists z \neg \delta(n,k,z)\) が
true となる. いま \(\exists z \neg \delta(n,k,z)\) は true な \(\Sigma_1\) 文なので \(T \vdash \exists z \neg \delta(n,k,z)\) である. \(k\) は任意なので \(T\) の \(\omega\)-無矛盾性より \(T \nvdash \exists y \neg \exists z
\neg \delta(n,y,z)\),つまり \(T \nvdash \exists y \forall z \delta (n,y,z)\) である. したがって \(T \nvdash \forall x \exists y\forall z \delta(x,y,z)\) なので \(T \nvdash \varphi\) となる.したがって \(T \vdash
\varphi\) ならば \(\varphi\) は true となるので,\(T\) は \(\Pi_3\)-健全である.
(b)
``\(T+ x\) が \(\omega\)-無矛盾である''という意味内容をもつ \(\Pi_3\) 論理式 \(\omega\)-\({\rm Con}_{T + x}\) をとり(下のコメントを参照), \[ {\sf Q} \vdash \varphi \leftrightarrow \neg \omega\text{-}{\rm Con}_{T+ \varphi} \]
となる \(\Sigma_3\) 文 \(\varphi\) をとる.
以上より \(\omega\)-無矛盾性は \(\Sigma_3\)-健全性を導かない.
(c)
\[ T \vdash \varphi \leftrightarrow \exists z (\Sigma_n(z) \land {\rm Pr}_{T + \varphi}(z) \land \neg {\rm Tr}_{\Sigma_n}(z)) \] となる \(\Sigma_{n+1}\) 文 \(\varphi\) をとれば,Exercise 2.29(c) より
\(\varphi\) は false かつ \(T + \varphi\) は \(\Sigma_n\)-健全である. \({\sf PA} \vdash \varphi \leftrightarrow \exists x \forall y \delta(x, y)\) となる \(\Sigma_{n-1}\) 論理式 \(\delta(x, y)\) をとると,\(\forall
x \exists y \neg \delta(x, y)\) は true なので,各 \(k \in \mathbb{N}\) に対して \(\neg \delta(k, m_k)\) が true となる \(m_k \in \mathbb{N}\) がとれる. \[ S : = T + \varphi + \{\neg \forall y \delta(k, y) : k \in
\mathbb{N}\} \] と定めると \(S\) は明らかに \(\omega\)-無矛盾ではない.
\(S \vdash \psi\) となる \(\Sigma_n\) 文 \(\psi\) をとると,ある \(k \in \mathbb{N}\) があって \[ T + \varphi \vdash \neg \forall y \delta(0, y) \land \cdots \land \neg \forall y \delta(k, y) \to \psi \] となる. 各 \(n \in \mathbb{N}\) について \(S \vdash \neg \delta(n, m_n) \to \neg \forall y \delta(n, y)\) なので \[ T + \varphi \vdash \neg \delta(0, m_0) \land \cdots \land \neg \delta(k, m_k) \to \psi \] である. \(T + \varphi\) は \(\Sigma_n\)-健全なので \(\Sigma_n\) 文 \(\neg \delta(0, m_0) \land \cdots \land \neg \delta(k, m_k) \to \psi\) は true である. \(\neg \delta(0, m_0) \land \cdots \land \neg \delta(k, m_k)\) は true なので \(\psi\) も true である. 以上より \(S\) は \(\Sigma_n\)-健全である.
関係``\(z\) は自由変数 \(v\) のみをもつ論理式である''と``\(w\) は \(z\) の自由変数 \(v\) に \(y\) を代入した論理式である''を表現する \(\Sigma_1\) 論理式をそれぞれ \({\rm Fml}_v(z)\) と \({\rm Sub}_v(z, y, w)\) とすると, \[ \omega\text{-}{\rm Con}_{T + x} = \forall z({\rm Fml}_v(z) \land \forall y \forall w({\rm Sub}_v(z, y, w) \to {\rm Pr}(x \to w)) \to \neg {\rm Pr}(x \to \exists v \neg (z))) \] とかける.