(a)
\(\varphi(x)\) を \(\Sigma_n\) 論理式とする. \(T \vdash \forall x \varphi(x)\) とすると,任意の \(k \in \mathbb{N}\) について \(T \vdash \varphi(k)\) である. \(T\) は \(\Sigma_n\)-健全なので \(\varphi(k)\) は true である. \(k\)
は任意なので \(\forall x \varphi(x)\) は true である. したがって \(T\) は \(\Pi_{n+1}\)-健全である.
(b)
まず \(\sigma_n\) が \(\Pi_{n+1}\) 文であることに注意しておく. \(T \vdash \neg \sigma_n\) と仮定すると,\(T\) は \(\Sigma_{n+1}\)-健全なので \(\neg \sigma_n\) は true である. つまり \(T\) が \(\Sigma_n\)-健全でないことになるためおかしい. したがって \(T
\nvdash \neg \sigma_n\),つまり \(T + \sigma_n\) は無矛盾である.
\(T \vdash \Sigma_{n+1}(\neg \sigma_n)\) なので,\(\sigma_{n+1}\) の取り方より \[ T + \sigma_{n+1} \vdash {\rm Pr}(\neg \sigma_n) \to {\rm Tr}_{\Sigma_{n+1}}(\neg \sigma_n) \] である. また \(T + \sigma_{n+1} \vdash \sigma_n\) だから \(T + \sigma_{n+1} \vdash \neg {\rm Tr}_{\Sigma_{n+1}}(\neg \sigma_n)\) なので \(T + \sigma_{n+1} \vdash \neg {\rm Pr}(\neg \sigma_n)\),つまり \(T + \sigma_{n+1} \vdash {\rm Con}_{T + \sigma_n}\) である. いま \(T \vdash \sigma_n \to \sigma_{n+1}\) であると仮定すると,\(T + \sigma_n \vdash {\rm Con}_{T + \sigma_n}\) となるため,第二不完全性定理より \(T + \sigma_n\) は矛盾する. これは上で示したことに反する. したがって \(T \nvdash \sigma_n \to \sigma_{n+1}\) である.
(c)
\(\Sigma_{n+1}\) 文 \(\varphi\) が true であると仮定すると,\(\exists z(\Sigma_n(z) \land {\rm Pr}_{T+\varphi}(z) \land \neg {\rm Tr}_{\Sigma_n}(z))\) は true である. よって,ある \(\Sigma_n\) 文 \(\psi\) が存在して,\({\rm
Pr}_{T+\varphi}(\psi) \land \neg {\rm Tr}_{\Sigma_n}(\psi)\) は true となる. すなわち \(T+\varphi \vdash \psi\) かつ \(\psi\) は false である. (a) より \(T\) は \(\Pi_{n+1}\)-健全である. よって,\(T\) において証明できる
\(\Pi_{n+1}\) 文 \(\varphi \to \psi\) は true である. これは \(\varphi\) が true かつ \(\psi\) が false であることに反する. したがって \(\varphi\) は false である.
したがって \(\Sigma_n\)-健全性は \(\Sigma_{n+1}\)-健全性を導かない.