5.9

(a)
\(\Pi_{n-1}\) 論理式 \(\gamma(x)\) と \(\Sigma_{n-1}\) 論理式 \(\delta(x)\) について,\(\varphi \equiv \exists x \gamma(x)\) かつ \(\psi \equiv \forall x \delta(x)\) とする. \(\Sigma_n\) 文 \(\sigma_0\) と \(\sigma_1\) をそれぞれ \(\exists x(\gamma(x) \land \forall y \leq x \delta(y))\) と \(\exists x (\neg \delta(x) \land \forall y < x \neg \gamma(y))\) とすると \({\rm PA} \vdash \sigma_0 \rightarrow \neg \sigma_1\) となる. いま \(T + \varphi + \psi \vdash \sigma_0\) であり,\(\psi\) は \(\Sigma_n\)-conservative over \(T + \varphi\) なので \(T + \varphi \vdash \sigma_0\) となる.よって \(T + \varphi \vdash \neg \sigma_1\) を得る.\(\varphi\) は \(\Pi_n\)-conservative over \(T\) なので,\(T \vdash \sigma_1\) がいえた.つまり \(T \vdash \forall x(\neg \delta(x) \rightarrow \exists y < x \gamma(y))\) なので,\(T + \neg \psi \vdash \varphi\),つまり \(T + \neg \varphi \vdash \psi\) がいえた.


(b)
\(\varphi\) を \({\rm PA}\) において証明も反証もできない \(\Pi_1\) 文とする. \(\mathcal{T} = \{{\rm PA} + \neg \theta : {\rm PA} \vdash \theta \to \varphi\} \cup \{{\rm PA} + \theta : {\rm PA} \vdash \varphi \to \theta\}\) とすると,これは \({\rm PA}\) の recursive extensions の r.e. 族である.

\(\Sigma_n\) 文 \(\theta\) が,この属の任意の理論 \(T \in \mathcal{T}\) に対して,\(T \nvdash \theta\) であり,\(\Pi_n\)-conservative over \(T\) であると仮定して矛盾を導く. まず \({\rm PA} + \theta \vdash \theta\) なので \({\rm PA} + \theta \notin \mathcal{T}\).
一方 \({\rm PA} \vdash \varphi \to \varphi \lor \neg \theta\) なので \({\rm PA} + \varphi \lor \neg \theta \in \mathcal{T}\). \({\rm PA} + \varphi \lor \neg \theta + \theta \vdash \varphi\) であり,\(\theta\) は \(\Pi_n\)-conservative over \({\rm PA} + \varphi \lor \neg \theta\) なので \({\rm PA} + \varphi \lor \neg \theta \vdash \varphi\). したがって \({\rm PA} + \neg \theta \vdash \varphi\). つまり \({\rm PA} + \theta \in \mathcal{T}\) となり矛盾する. 

次に \(\Pi_n\) 文 \(\theta\) が,この属の任意の理論 \(T \in \mathcal{T}\) に対して,\(T \nvdash \theta\) であり,\(\Sigma_n\)-conservative over \(T\) であると仮定して矛盾を導く. 上と同様に \({\rm PA} + \theta \vdash \theta\) なので \({\rm PA} + \theta \notin \mathcal{T}\) である.
\({\rm PA} \vdash \varphi \land \theta \to \varphi\) なので \({\rm PA} + \neg (\varphi \land \theta) \in \mathcal{T}\). \({\rm PA} + \neg (\varphi \land \theta) + \theta \vdash \neg \varphi\) であり,\(\theta\) は \(\Sigma_n\)-conservative over \({\rm PA} + \neg (\varphi \land \theta)\) なので \({\rm PA} + \neg (\varphi \land \theta) \vdash \neg \varphi\). したがって \({\rm PA} + \neg \theta \vdash \neg \varphi\) つまり \({\rm PA} \vdash \varphi \to \theta\) である.\(\mathcal{T}\) の取り方より \({\rm PA} + \theta \in \mathcal{T}\) となり矛盾する.